Innovation is Everywhere
立ち上げ時から丸四期、役員として携わったベンチャーを辞め、
フリーランスへの復帰を公にしてから1か月が経ちました。
フリーランスへの復帰を公にしてから1か月が経ちました。
いろいろな方から激励や支援をいただいて、ベンチャー時代から仕込んでいた案件もようやく形になりつつあります。
「イノベーションは大企業、ハイテク企業やベンチャーのものだけじゃない」
「ローテクや一次産業、中小企業、個人にだってイノベーションは普通に起こる」
と連呼し、イノベーションへの挑戦のハードルを出来るだけ低くすることで、つくばを中心として地域発のイノベーションを促進するべく動いてきました。
イノベーションを「新たな価値の創出」と捉えると、単に社会全体に対して新サービスや新製品、新技術を提供することだけでなく、そういった広義のイノベーションを起こしやすい環境、仕組みを整えることもまた、イノベーションの一部です。
イノベーションを推進する社会システム、コラボレーションを通じたオープンイノベーションの仕組み作りなどの視野の広いものから、社内システムの再構築、オペレーションの改善、チームビルディングなど、一社単位のものまで含めた「環境」や「仕組み」づくりが、あらゆるイノベーションのベースになります。
そのなかで、イノベーションの担い手を増やしたり、さらに効率よくイノベーションを起こせるようにするための方策の一つとして、表題にある「ヒトのシェアリングエコノミー」を考えるようになりました。
人材を「シェア」するということ
人の働き方として、「一社専属」というものが基本にあることは間違いありません。ただ、「終身雇用」というバブル以前の常識が跡形もなく崩れ去ったように、この「一社専属」という概念も常識として捉えない方がいいと思うのです。
今、AirbnbやUberなど、様々な領域で効率よくモノや空間を社会全体で共有するシェアリングエコノミー型のイノベーションが多く起きつつあり、ビジネスとしてもどんどん巨大になってきています。
「ヒト」の面でも、士業やコンサルタントなどの専門家から始まり、外部顧問、社外取締役など、一人の人間が複数の企業の事業や成長をサポートする仕組みは古くからあり、これはある意味、ヒトのシェアリングエコノミーといってしまっていいと思います。ただ、これらは外部人材をそのまま外部人材として活用することに意味があり、プレイヤーとしてはそれぞれ全く別の存在で、人材を共有しているわけではありません。
ヒトのシェアリングエコノミー
私は今、複数のベンチャー、中小企業で、「一歩半」社内に踏み込んだ形で、その企業の一員として、プロジェクト施策の企画や、事業、ビジネスの仕組みづくりなどを担っています。
それぞれ、経営により近い立ち位置で仕事をさせていただいているなかで気づいたことは、どんな会社でもどこか人が足りていない立ち位置があるということです。経営者としては、こういうことがやりたい、取り組みたい、考えたい。けれども、その部分を担う人材がいない。人を入れようにも入れる人材が見当たらない。いても大抵どこかですでに働いている、もしくは自分でビジネスをやっている。
これは 、ベンチャーや中小企業であるほど、ある程度共通に抱えてる悩みだと思います。
この課題は、「一社専属」という考え方のもとではなかなか解決しづらいものです。人が専属している先を変えさせることは非常にエネルギーのいることですし、それ以外では、たまたまフリーな人間を探す、もしくは時間をかけて社内の人材を育てるくらいしか選択肢がありません。
しかし、私がフリーランスのまま、複数の企業の内部に立ち位置をもって働いているように、人材を複数の企業が内部に共有をする「ヒトのシェアリングエコノミー」が一つの働き方として一般的になれば、少なくともその立ち位置を担う人材がいなかったために被った機会損失分は取り戻せるはずです。また、そこが新たなビジネスチャンスとなる可能性も大いにあります。そして、それぞれの企業が創出する価値の総量が増えることで、経済全体へも良いインパクトをもたらすことができます。
「シェアリングエコノミー」の意義として、遊休資産(時間、モノ、アイデアなど)を共有することで、その稼働率を上げることだとすれば、ヒトにもそれぞれ遊休のものとして有効に使われていないスキルセットやネットワーク、アイデアなどがあるはずで、ヒトを様々なレイヤーで共有することでそういった遊休資産全体の稼働率が上がり、より多くの新しい価値の創出、イノベーションにつながると私は考えます。